ダクト形フェージングとは、無線通信において特定の条件下で発生する信号の減衰や変動の一種です。具体的には、信号が地表や大気中の異常な層(ダクト)により捕捉され、特定の方向に伝播する現象を指します。このダクトは、温度や湿度の変化によって形成されることが多く、特に温度逆転が起こると、信号が地表から高い位置まで集中的に伝わることがあります。
ダクト形フェージングが発生すると、通常の伝播条件では考えられない距離の通信が可能になることがある一方で、信号の強度が急激に変化するため、通信品質に影響を及ぼすこともあります。この現象は、特にVHFやUHF帯域で顕著に見られることが多く、無線通信の設計や運用において考慮すべき重要な要素となります。