遮断周波数は、フィルターや導波管などの電子回路や通信システムにおいて、信号が十分に伝達される周波数帯域と伝達されない周波数帯域の境界を指します。具体的には、この周波数よりも低い（または高い）周波数の信号は通過（または遮断）され、遮断周波数自体は信号が通過できる限界点として定義されます。
遮断周波数は、フィルターの種類によってその意味が異なります：
- 低域フィルター（LPF）の場合、遮断周波数はそのフィルターが通過させる最高周波数を示し、この周波数以上の信号を遮断します。
- 高域フィルター（HPF）では、遮断周波数はフィルターが通過させる最低周波数を示し、この周波数以下の信号を遮断します。
- 帯域通過フィルター（BPF）や帯域除去フィルター（BRF）では、遮断周波数は通過（または除去）される周波数帯域の上限と下限を定義します。
導波管においては、遮断周波数は導波管内を伝達できる電磁波の最低周波数を指し、この周波数未満の電磁波は導波管内で減衰してしまい、効果的に伝送されません。
遮断周波数の概念は、電子回路や無線通信システムの設計において極めて重要です。これにより、望ましい信号のみを選択的に通過させたり、不要なノイズや干渉信号を効果的に除去したりすることが可能になります。また、特定の通信チャネルの周波数帯域を最適化するためにも使用されます。遮断周波数は、フィルターの性能を評価する際の主要な指標の一つであり、通信システムの設計者にとって重要な参考情報となります。