「フェージング」とは、無線通信において受信信号の強度や品質が時間や位置に応じて変動する現象を指します。この現象は、信号が伝播する際に、様々な要因によって引き起こされます。主な要因には、地形の影響、建物や障害物による反射、回折、散乱などがあります。
フェージングには、主に二つのタイプがあります。ひとつは「多重経路フェージング」で、これは同じ信号が異なる経路を通って受信されることによって、干渉が生じる現象です。もうひとつは「ドップラー効果」によるフェージングで、これは移動体通信において、送信者や受信者が動いていることによって信号の周波数が変化することに起因します。
この現象は、通信の安定性や品質に大きな影響を与えるため、無線通信システムの設計や運用において重要な考慮事項となります。対策としては、アンテナの配置や選定、エコーキャンセリング技術の導入、スペクトラム拡散技術の利用などが挙げられます。フェージングを理解し適切に対処することは、効果的な無線通信の実現に不可欠です。