位相同期ループ発振回路(Phase Locked Loop, PLL)は、信号の位相を同期させるための回路で、主に信号の復調や周波数合成に利用されます。この回路は、入力信号の位相を検出し、それを基に発振器の位相を調整することで、出力信号が入力信号に同期するように働きます。
基本的な構成要素としては、以下の3つがあります:
1. 位相検出器(Phase Detector): 入力信号と発振器からの出力信号の位相差を検出し、その差を電圧信号に変換します。
2. 低通フィルター(Low Pass Filter): 位相検出器からの信号を平滑化し、高周波成分を除去することで、制御電圧を安定化させます。
3. 発振器(Voltage-Controlled Oscillator, VCO): 低通フィルターからの制御電圧に応じて出力周波数を変える発振器です。
位相同期ループは、特に通信システムにおいて、受信信号の復調や、信号の周波数を正確に合わせるために重要な役割を果たします。また、PLLは、周波数合成器、クロック生成、デジタル信号処理など多岐にわたる応用があります。
この回路の利点は、外部の安定した基準信号に対して、出力信号を自動的に同期させることができるため、精度の高い信号処理が可能となる点です。しかし、PLLの性能は、位相検出器の特性や発振器の応答速度に依存するため、設計時にはこれらの要素を考慮する必要があります。