リンクバジェットとは、無線通信システムにおいて、送信機から受信機までの信号の伝送経路における各要素の損失と利得を計算し、最終的な受信信号の強度を予測するための手法です。この概念は、無線通信の設計や運用において非常に重要です。
リンクバジェットには、以下の主要な要素が含まれます：
1. 送信出力：送信機が出力する電力のレベル。これが高いほど受信信号も強くなります。
2. アンテナ利得：送信アンテナおよび受信アンテナの利得。アンテナの指向性や設計によって、特定の方向における信号の強度が変わります。
3. 伝搬損失：電波が空気中や障害物を通過する際に失うエネルギー。距離が増えるほど、また障害物が多いほど損失が大きくなります。伝搬損失には、フリースペース損失や多重経路損失、地形による影響などが含まれます。
4. 受信感度：受信機が有効に信号を受信できる最低限の信号強度。この値が高いと、より弱い信号でも受信可能になります。
リンクバジェットは、これらの要素を合算または引き算することで、最終的な受信信号強度を求めます。これにより、通信の可用性や品質を評価し、必要なシステムの設計や改善を行うための基礎を提供します。