「マルチパス」とは、無線通信において信号が複数の経路を通って受信機に到達する現象を指します。これは、反射、屈折、散乱などによって生じることがあり、特に都市部や山間部などの障害物が多い環境で顕著になります。
マルチパスが発生すると、同じ信号が異なる時間に受信機に到達するため、信号の重なりや干渉が起こることがあります。この結果、受信信号の品質が低下し、通信エラーや途切れが発生する可能性があります。特にデジタル通信では、信号の遅延や位相のずれが影響を与え、データの正確な受信が難しくなることがあります。
マルチパスの影響を軽減するためには、適切なアンテナの設計や信号処理技術の活用が重要です。例えば、空間的多重化やダイバーシティ受信といった技術を使用することで、異なる経路からの信号を効果的に利用し、通信の安定性を向上させることが可能です。