2020年からローカル5Gなどの高速な無線を使うことで、自動運転やIoT、ロボットなどの通信が行われ、ますます高度通信社会になってくることが予想されています。
そんなますます無線技術の重要度が増してくるこの時代に注目/ハイライトされている資格が「一陸特」になります。

会社から無線事業を新しく始めるから急に「イチリクトク」なんて資格を取れと言われてしまった・・・
今回はお金をかけずに一陸特の資格を最短でさっくり取るために合格ステップを紹介していきたいと思います。
一陸特とは?

第一級陸上特殊無線技士(一陸特)は、総務省が定める無線従事者資格の一つです。
陸上に設置する無線設備に関わる操作や設置などを扱うために必須の資格になっており、第二級陸上特殊無線(二陸特)、第三級陸上特殊無線(三陸特)などの陸上特殊無線資格の最上位資格になります。
以下で一陸特の資格取得のメリットを紹介していますので、こちらも併せてどうぞ。

合格までのステップ
一陸特の合格までにステップを紹介していきたいと思います。
一陸特の合格の目安ですが、基準の目安は大体こんな感じになっています。
区分 | 合格点数 | 正解数目安 |
---|---|---|
無線工学の合格基準 | 120点中75点 | 24問中15問正解 |
法規の合格基準点 | 60点中40点 | 12問中8問正解 |
毎回7000〜10000人が受験しており、合格率は25%前後になっているので難易度としてはなかなか難しめの方には入ります。必要な勉強時間としては、2ヶ月〜4ヶ月弱で、周りをみても大体似たような時間をかけている人が多そうでした。
おそらく電気電子などの技術バックグラウンドがある方であればもう少し短くすることはできると思います。
因みに受験料は国家試験ということもあ利、6000円程度とかなり安めです。
STEP1|先ずは参考書を読もう
先ずは何よりもテキストを買いましょう。
無線に関するテキストというのはなかなかちょうどいいものが見つからず、かつ過去問だけ解いていったとしても解説がなければ全く覚えることはできませんよね。当サイトでも一陸特の勉強アプリを公開していますが、解説までは時間をかけられていません。
そのため必ず無線の原理を理解した上で進めるためにも是非テキストは揃えましょう。
国家試験になっている一陸特ですが、意外と全てを網羅したテキストというのが存在しないのもこの資格の特徴です。先ずは認識すべきは「全てを網羅する必要はない」ということです。
その中で実際本を読んでみて、使えそうだと思ってるは以下の2点です。


STEP2|学習のポイントを押さえよう
テキストを手に入れた後にやる勉強のポイントを紹介していきます。
ともかく暗記
無線工学はなかなか難しいです。特に言葉だけではなかなか目には見えない無線の流れ・変調の原理を掴むのは困難です。
前項で紹介している本であれば、こういった内容を視覚的に理解できるので、先ずは本を読み進めましょう。
ポイントとしては、関連する問題を集中して解くことでその内容を理解することができるはずです。
電子回路計算は諦める
無線工学で1番の難関・受験者が問題をみて受験を諦めるものになるのが電子回路の計算です。もちろん電気系の技術者であれば避けてはならない部分なんですが、これを勉強・理解しようとすると、勉強時間は軽く追加で3ヶ月程度かかると思ってください。
因みにどんな感じかというとこんな感じです。

これをみて、よしやるぞ!と思えなかった方は、大丈夫です。
電子回路問題は「捨てて良い」です。
無線工学は24問中15問正解すればいいので、逆に言えば9問は間違えても大丈夫です。電子回路の問題は毎回1〜2問出題される事になっています。
そのため、残りの22問を確実に正解していけば電子回路問題は捨てても何も問題ないです。
デシベル計算に慣れろ
電子回路計算は捨てても良いと言いましたが、デシベル計算は無線工学では必須です。
というかデシベル計算は一見難しいように感じますが慣れてしまえば単なる暗記と足し算です。覚えるべきはこの対比だけです。
真数 | dB |
---|---|
1 | 0 |
2 | 3 |
4 | 6 |
8 | 9 |
16 | 12 |
32 | 15 |
64 | 18 |
128 | 21 |
256 | 24 |
512 | 27 |
1024 | 30 |
これが覚えていれば、例えば400mWは4 x 10 x 10と分解ができるので、6dBm + 10 dBm + 10dBm = 26dBmと計算できますね。
因みにデシベル計算では、dBを3の乗数、真数を2の乗数となっている事に気づければ、簡単に覚えられます。
また無線工学では地味にこの間の数字がよく使われます。例えば500mWや350mWなどですね。
真数が3の場合と5の場合だけ補完して暗記しても良いですし、乗数ということが分かっていれば、なんとなく間の数値だと思っていれば、選択肢の中からの計算という意味では十分対応できます。
法規は1問も捨てるな

不合格だった受験者に話を聞くとやはり苦労するのは「法規」になっており、工学は合格圏内だったけど法規でダメだったという話はよく聞きます。
法規に関してはコツなどは一切ありません。ともかく過去問の内容を覚えていくしかありません。しかも法規の場合は無線工学と違って捨て問はありません。
12問中8問正解しないとならないので、4問しか間違えることはできません。こればかりは電波法を理解するしかないので、ここでしっかり暗記していきましょう。
STEP3|過去問をひたすら解く
過去問に関しては、日本無線協会のウェブページでも過去3年分は公開されています。
当サイトでは過去の試験問題をリスト化していますので、これらから必要なものを使ってください。

どれぐらいやるべきかですが、出題問題の傾向は似たようなものは出ます。
しかし毎年全て同じ問題が出るわけではなく2〜3年おきに出題されるものもあるので、少なくとも3年分の過去問を解けば良いと思います。余裕がある方は4〜5年分勉強することをお勧めします。

参考解説サイト
勉強の際に参考になりそうなサイトを紹介していきます。
一陸特の1番の有名なサイトだったのは「過去問分析で絶対合格」というサイトだったのですが、残念ながら現在はもうアクセスできないようになっています。但し、アーカイブされたものは残っているので、平成28年前の試験問題であれば解説が入った内容を確認することができるので、引き続きお勧めです。
あとは当サイトでも紹介しているテキストの著者(工学院大学教授)のホームページもとても有用です。
一陸特対策アプリ

当サイトでは過去問をスマホで通勤・通学中に勉強できるアプリを作成しました。過去問を問題別に解いたり、開催回別にガッツリ勉強に使えたりできるようにしています。
是非勉強用に使ってみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?一陸特を最短で取得する合格ステップを紹介してみました。
一陸特は無線の基本を勉強するという意味でもとても有用な資格になります。
今の社会の中で無線通信を使わないソリューションなんてものはほとんど存在しません。その中で無線工学/無線に関わる法律を理解しているエンジニアというのはとても重宝されています。
是非この機会に一陸特の資格取得に向けて勉強してみてください。